エコキュートは、空気の熱を利用してお湯を沸かす省エネ給湯機として人気がありますが、「ガスとの併用は可能なの?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。本記事では、エコキュートとガスの併用ができるかどうか、またそのデメリットやおすすめな家庭の特徴についてもくわしく解説します。
エコキュートはガスと併用できる?
エコキュートとは、空気の熱を利用して効率的にお湯を沸かす「ヒートポンプ式電気給湯器」です。
ガス給湯器のようにお湯を使うたびに加熱するのではなく、夜間など電気料金の安い時間帯にお湯を沸かして貯湯タンクに蓄え、必要なときに使える貯湯式となっています。
また、エコキュートは、電気でお湯をまかなえることから「オール電化住宅」の主要設備としても知られています。オール電化とは、調理・給湯・冷暖房など家庭内で使用するすべてのエネルギーを電気に一本化するライフスタイルのことです。
ガスを使用しないことで火災リスクを抑えたり、光熱費の基本料金を電気にまとめたりといったメリットがあり、太陽光発電システムとの相性の良さから導入する家庭が増加中です。
同じく電気で稼働する「電気温水器」と比較されることもありますが、ヒートポンプ技術が空気中の熱を取り込むため、エコキュートのほうがより少ない電力で効率よくお湯を沸かせます。
環境負荷の低減や節電の面でも優れており、近年注目が高まっています。では、エコキュートはガスと併用できるのかという疑問ですが、その答えは「併用可能」です。
具体的には、ガスコンロやガスファンヒーターなど既存のガス機器をそのまま使いながら、給湯部分だけをエコキュートに置き換えることで、ガスとエコキュートの併用が可能です。
この方法なら、オール電化に全面移行するよりも初期費用を抑えつつ、給湯部分のコストを削減できるというメリットがあります。
ガスと併用すると起こるデメリットも考慮しよう
ガスは調理に便利で、停電時の安心感もありますが、エコキュートと併用することでいくつかのデメリットが生じることも忘れてはいけません。
ここでは、エコキュートとガスを併用した際に考慮すべきデメリットについて解説します。
電気とガスの両方の基本料金が発生する
併用することで起こるデメリットは、電気とガスの両方の基本料金を支払う必要がある点です。
ガスの料金は、使用量に応じた「従量料金」と、使用量にかかわらず毎月発生する「基本料金」で構成されています。
エコキュートとの併用で、ガスの使用量は少なくなりますが、たとえガスを1㎥も使わなかったとしても、基本料金は必ず請求されるものです。
エネ研・石油情報センターによる「液化石油ガス市況調査」では、ガスの基本料金の平均は約2,000円とされています。この金額を単純計算しただけでも年間で約2万4,000円になり、無視できないコストといえます。
太陽光発電や蓄電池の恩恵を十分に受けられない
近年は太陽光発電システムや蓄電池を導入して光熱費を削減しようとする家庭も増えています。
こうした設備は、電気を中心に生活する「オール電化住宅」と非常に相性がよいのが特徴です。
たとえば、昼間に太陽光で発電した電力をエコキュートの運転に活用したり、深夜電力を蓄電池に貯めて昼間の消費電力を抑えるなど、電気を効率的に使うことで光熱費の削減につながります。
しかし、エコキュートとガスを併用している場合、ガス機器は電力を使用しないため、こうした電力の工夫の恩恵を調理分には活かせません。結果的に、せっかく導入した太陽光発電や蓄電池の効果を最大限には引き出せなくなります。
エコキュートとガスの併用がおすすめな家庭の特徴
エコキュートとガスを併用するか、オール電化住宅にするかは、家庭のライフスタイルや設備環境によって最適な選択が異なります。
まず、IHクッキングヒーターに魅力を感じない人には、エコキュートとガスの併用がおすすめです。IHクッキングヒーターは、火を使わないため火災リスクが低く、調理後の掃除も簡単といったメリットがありますが、直火が使えず専用の調理器具が必要だったり、ランニングコストが高くなる場合があります。
さらに、初期費用として工事費込みで約20万円前後かかるため、コスト面でも導入をためらう家庭も多いでしょう。これらの理由から、ガスコンロを好む家庭や直火調理を重視する家庭には、無理にIHへ切り替える必要はありません。
また、太陽光発電システムや蓄電池を設置していない家庭にも、ガスとの併用は向いています。オール電化住宅は昼間に電気を多く使うため、太陽光発電や蓄電池がないと、結果的に電気代が高くなるケースもあります。
そういった家庭では、ガスとエコキュートを併用し、使用状況に応じて燃料のバランスを取ることで、無駄な電気使用を抑えることができ、結果として光熱費全体の最適化につながります。
併用の可否については、家庭ごとの光熱費をシミュレーションして、慎重に判断するのがベストです。
しかしその一方で、ガス料金の基本料金がもったいないと感じる人や、太陽光発電・蓄電池を設置している人はオール電化を目指したほうがよいかもしれません。
とくに太陽光や蓄電池をすでに導入している家庭は、電力の自家消費が可能となるため、IHクッキングヒーターを使っても電気代を抑えられる可能性が高くなります。この場合、ガスを使い続けるよりもオール電化にすることで、光熱費の最適化が図れるでしょう。
まとめ
エコキュートとガスの併用は、IHの必要性を感じない方や太陽光発電を導入していないご家庭にとって、バランスのよい選択肢となります。ガスとの併用で調理の自由度が高く、停電時にも使える機器が多いという安心感を得られるでしょう。エコキュートを導入する際は、ライフスタイルや設備状況、予算などを踏まえて、自分に合った選択をすることが重要です。家庭の環境や考え方に応じて、自分たちに最も適したエネルギー活用法を選びましょう。