
最近「エコキュートのお湯の減りが早い」と感じることはありませんか?特に冬場になるとその傾向は強く、困ってしまう家庭も少なくありません。じつは、使用状況や設定ミス、機器の不具合などさまざまな原因が考えられます。放置すると快適な生活に支障をきたすこともあるので、お湯が早く減る原因とすぐにできる対処法を本記事でご紹介します。
エコキュートの基本の仕組み
エコキュートは、ヒートポンプ技術を利用して空気の熱を活用し、高効率にお湯を沸かす電気給湯器です。
貯湯タンクには約70~90度に加熱された高温のお湯が貯められており、このお湯を水で希釈することで、蛇口から設定した温度のお湯を供給する仕組みとなっています。
お湯を沸かすタイミングは、基本的に電気代が安くなる深夜時間帯に設定されており、日中の電気使用量を抑える工夫がされています。
ただし、深夜の沸き上げ前にタンク内のお湯を使い切ってしまった場合には、時間に関係なく再加熱が行われ、昼間に電気代がかかるため、注意が必要です。
一方、ガス給湯器は配管を通る水に対して瞬時に加熱を行う方式のため、お湯切れの心配がなく、常に安定してお湯を供給できるという特徴があります。
とはいえ、エコキュートも1週間の使用量データをもとに、必要な分だけを沸かす「学習機能」が搭載されているので、通常の使用量であればお湯が足りないという事態は発生しません。
タンク内のお湯は、使用状況に応じて適度な量になるようコントロールされているのです。
しかし、お湯を無駄にしないよう設計されている分、使用できる湯量は柔軟性に乏しく、急な来客や使用量の変化があった場合には、対処しきれないことがあります。導入する際は、こちらの点にも注意しましょう。
減りが早くなる5つの原因と対処法
エコキュートのお湯がいつもより早くなくなってしまうと「故障なのだろうか」と心配になるものです。
しかし、お湯の減りの早さの原因は必ずしも故障とは限らず、じつは使用環境や生活スタイルに起因しているケースが多いのです。ここでは、故障以外に考えられるエコキュートのお湯の減りが早くなるおもな5つの原因とその対処法をご紹介します。
冬になるとお湯の減りが早まる
お湯の減りが早いのが毎年冬に限って起きるのであれば、故障の可能性は低いです。
冬は外気温が下がるため、タンク内のお湯が冷めやすくなり、実際に使えるお湯の量が減ってしまいます。タンクは断熱性の高い構造になっていますが、それでも寒さが厳しいと設定温度以下に下がってしまい、使用できないお湯として扱われます。
また、外気温が氷点下に達すると、ヒートポンプの効率も低下してしまい、お湯を沸かすのに時間がかかってしまいます。これでは、必要なときに十分なお湯が用意できなくなってしまうでしょう。
さらに、冬は手洗いや洗顔、食器洗いなど、さまざまな場面でお湯を使う頻度が増えるため、お湯の減りが加速するのです。
対処法としては、深夜電力での沸き増し設定を見直す、寒冷地用のエコキュートを導入する、また必要に応じて手動で沸き増しを行うといった対応が有効です。
保温・追い焚き機能の使用
家族の入浴時間がバラバラな場合、追い焚きや保温機能を使うことが多くなります。
しかし、これらの機能もタンク内のお湯を間接的に消費する仕組みになっており、冷えた浴槽の水を再加熱する際にタンクのお湯の熱を使うため、結果的に使用可能なお湯の量が減ってしまいます。
対処法としては追い焚きではなく、なるべくまとめて入浴するなどの工夫で機能の使用回数を減らし、結果としてお湯の消費量を抑えることができます。
長期間使用しなかったため
旅行や出張などで長期間家を空けた後、帰宅するとお湯の量が少ないと感じることがあります。
これはエコキュートが過去1週間のお湯使用量を学習し、自動で最適な沸き上げ量を調整しているためです。使用量が少ないと判断されると、次回以降の沸き上げ量も少なくなってしまいます。
そんなときは、長期間留守にする際は「沸き上げ停止機能」を活用しましょう。帰宅後に再稼働すれば、通常量まで沸き上げてくれます。
さらに、2週間以上不在にする場合は、タンクの水抜きと電源オフを行うことで、安全性と衛生面、そして電気・水道代の節約にもつながります。
配管の熱湯洗浄によるお湯の消費
一部のエコキュートには、配管を高温のお湯で自動洗浄する機能が備わっています。
これは配管内の衛生を保つために重要な機能ですが、1回の洗浄で約10リットルものお湯を消費するため、気付かないうちにお湯の量が減ってしまう原因になります。
自動洗浄をOFFにできる機種であれば、必要に応じて停止するのもひとつの手です。ただし、衛生面の維持を考えると基本的にはONにしておくのが望ましいため、沸き増し設定で対応しましょう。
また、頻繁にお湯切れが起こるようであれば、貯湯タンクの容量自体が家庭の使用量に合っていない可能性もあるため、容量の見直しも検討するとよいでしょう。
漏水の可能性
エコキュートを使っていないのにお湯が減っている場合、漏水が疑われます。
お風呂の栓が完全に閉まっていなかったり、配管に亀裂があったりすることで、お湯が少しずつ減ってしまうのです。特に栓の閉め忘れや、ゴム栓の劣化によって隙間ができているケースは意外と多く見られます。
また、タンク周辺に水たまりができているようであれば、配管からの水漏れが起きている可能性が高く、放置するとさらなる損傷を招きかねません。
対処法として挙げられるのが、お風呂の栓や配管を定期的にチェックし、異常があれば早急に専門業者に点検・修理を依頼することです。特に配管の亀裂や劣化は個人での対応が難しいため、専門の対応が必要です。
まとめ
エコキュートのお湯の減りが早く感じられる原因には、気候や使用状況、機能の使い方などさまざまな要素が関係しています。いずれのケースも必ずしも故障とは限らないため、原因を冷静に見極めて適切に対処することが大切です。それでも改善が見られない場合や、明らかに異常な減り方をしていると感じたときは、早めに専門業者に点検を依頼するようにしましょう。






