
海の近くに住んでいる方がエコキュートを選ぶとき「塩害仕様」という言葉を目にするでしょう。一般地仕様との違いや、どの仕様を選ぶべきか迷う方も多いはずです。海からの距離による基準や設置場所の選び方、長持ちさせるコツまで詳しく解説します。ぜひ最後までご一読ください。
塩害仕様が必要な理由
海沿いの地域では、潮風に含まれる塩分によって金属が腐食しやすく、屋外に設置するエコキュートは特に影響を受けます。腐食が進むと故障につながるため、メーカーは防サビ性能を強化した「耐塩害仕様」や「耐重塩害仕様」を販売しています。これらは業界規格JRA9002に沿って製造され、潮風に強い処理が施されています。
海からの距離で決まる
塩害仕様の選択は海からの距離が目安となり、一般的には300m以内は耐重塩害仕様、300m超〜1kmでは耐塩害仕様が推奨されます。ただし外洋側や離島では塩害が強く、より厳重な対策が必要になる一方、内海側では塩害が弱いため通常仕様で対応できることもあります。風の強さや季節的な影響も含め、導入前に専門業者へ相談することが大切です。
潮風が直接当たるか
海からの距離だけでなく、設置場所が潮風を直撃するかどうかでも必要な仕様が変わります。建物で風が遮られる位置なら海に近くても通常仕様で問題ない場合がありますが、潮風を直接受ける環境では距離があっても強い塩害対策が求められます。設置場所を選べる場合は、潮風が当たりにくい場所を選ぶことで腐食の進行を抑えられます。
一般地仕様との違い
通常の一般地向け製品と塩害対応製品では、採用されている部材や加工技術が大幅に異なります。一般地向けのエコキュートをそのまま塩害エリアで使用すると、想定より早く故障するリスクが高まるため気をつけましょう。
防錆加工の内容
塩害対応のエコキュートには、腐食を防ぐための多様な工夫が凝らされています。お湯を作るヒートポンプユニットでは、外側のパネルや内部のパーツに耐腐食性の高い鋼材を使用しています。加えて、電子回路基板にはシリコンによる保護コーティングを実施し、電気的な劣化による不具合を防止する設計がされています。
お湯をためるタンクユニットも、錆びにくい特殊な鋼材を採用し、防水・防塵機能を持つカバーで電子部品を守る仕組みになっています。このような特別な処理により、潮風や塩を含んだ雨に晒されても、長い期間劣化を抑えられる作りとなっているのです。
耐塩害と耐重塩害
塩害対応製品には「耐塩害仕様」と「耐重塩害仕様」という2つのグレードがあり、対応可能な塩害レベルに差があります。耐塩害仕様は、海岸から300m超1km圏内の比較的穏やかな塩害エリア向けの製品です。ステンレス素材や防錆処理を施したパーツを使用し、一般的な塩分による腐食への対策が実施されています。
それに対して耐重塩害仕様は、海から300m圏内など強烈な潮風を受ける立地向けです。さらに耐久性の高い材料や強力な防錆処理が採用されており、非常に高い塩分環境でも長期的に腐食を抑える設計になっています。沖縄や離島で潮風を直接受ける立地では、耐重塩害仕様の導入が望ましいとされています。
受注生産と納期の目安
塩害対応のエコキュートは、大半のメーカーで受注後の生産体制となっています。既存の製品を一度分解して耐食処理を実施してから組み立て直すため、一般地向けのようにすぐには入手できません。発注してから納品されるまで、最短でも約1か月、場合によっては約3か月の期間を要します。
主要な製造メーカーではどこでも塩害対応製品を発注できますが、納品時期には十分な余裕を見ておく必要があります。エコキュートが急に壊れてお湯が使えない状況に陥ると不便なため、海岸エリアにお住まいの方は、機器のコンディションを定期的にチェックし、早い段階で交換を考えることをおすすめします。
長持ちさせる工夫
塩害対応のエコキュートを導入しても、腐食が完全に防げるわけではありません。設置する場所の工夫や日頃のメンテナンスによって、使用期間を延ばせます。
設置場所の選び方
エコキュートの寿命を延ばすには、どこに設置するかが非常に大切です。建物の陰や塀で守られて潮風を直接受けない場所を選ぶのが最善です。また、外側のパネルに付いた塩分を雨が自然に流してくれるような立地も向いています。海とエコキュートの間に遮るものがあれば、風の影響を受けにくくなり、腐食の速度を遅くできます。
ただし、やむを得ず潮風が当たる場所へ設置しなければならないケースもあるでしょう。そのような状況では、タンクユニットだけでも囲いで保護するといった塩害対策を考えてください。設置の際は、海水や潮風に直接晒されることをできる限り避けられる場所を選ぶことが肝心です。
定期的な手入れ方法
耐塩害製品であっても、日常的なメンテナンスは欠かせません。まずは見た目での点検を定期的に実施し、エコキュートの様子を確認しましょう。表面に付いた塩分は、水で濡らしたタオルで拭いたり、水を直接かけて流したりすることで取り除けます。
やや手間に感じるかもしれませんが、こうした簡単なお手入れを習慣化するだけでも、機器に付着した塩分を落とせ、長く使い続けられます。とくに海岸部に設置した機器に関しては、付いた塩分を取り除くために定期的な水洗いが推奨されています。また、状況に応じて防錆処理のやり直しやパーツ交換を行うことも、長期使用のための重要なポイントです。
まとめ
海沿いでエコキュートを導入するなら、海岸線からの距離と潮風の影響度合いによって最適な仕様を選択することが大切です。海から300m圏内なら耐重塩害仕様、300m超1km圏内なら耐塩害仕様が基本ですが、内海か外洋か、建物の陰になるかなど、導入環境によって条件は変化します。塩害対応のエコキュートは通常仕様より納品に時間がかかり、受注生産のため1〜3か月程度の待機期間が必要ですが、長期的に安全に使用するために欠かせない対策といえます。導入後も定期的な水洗いや点検を実施し、塩分を落とすことで使用年数を伸ばせます。専門業者とよく打ち合わせをして、立地条件に適した製品を選びましょう。






